今回は欧州連合(EU)の統計機関であるeurostatが出している統計資料を基に、EU企業によるソーシャルメディアの利用に関する最近の統計を紹介します。 
以前の記事でも取り上げたように、SNSはダイレクトマーケティングマーケティングにおいて重要になっており、今回紹介するヨーロッパでの統計も大企業を中心にソーシャルメディアを活用していることが分かります。
一般的にEC利用率に関しても日本に比べヨーロッパやアメリカの方が高いと言われているので、今後も政府系統計機関などの情報もこのブログで紹介していく予定です。

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※本記事は下記のサイト記事を一部抜粋し翻訳(意訳)をしています。 
eurostat Statistics Explained 
“Social media – statistics on the use by enterprises” (Data extracted in June 2022

1. 企業とソーシャルメディア 
2. ソーシャルメディアとビジネスのパラダイムシフト 
3. 企業におけるソーシャルメディア利用状況 
4. 利用されるソーシャルメディアの変化 

ソーシャルメディアは企業がオンライン上での存在感を高めたりマーケティングの機会を改善したりするだけでなく、自社のパートナーや顧客などとの交流や企業内でのコミュニケーション、知識共有を促進するためのツールとして不可欠なものとなっています。 

なおソーシャルメディアとは、ソーシャルネットワーク(SNS)、ブログ、マルチメディアコンテンツ共有サイト、Wikiなどのオンラインベースのアプリを指します。
主に企業は、自社のイメージ構築やマーケティング、顧客データの取得、企業内外でのコミュニケーション、また採用活動のためにこれらを利用しています。

過去約10年で静的なウェブページから「クラウド」に保存されたユーザーデータと関連アプリケーションを利用するウェブアプリへの移行があり、同時期に多数のオンラインサービスや共同ウェブアプリケーション、対話型のウェブサイトが登場しました。
ユーザーはこれらのサービスに登録し、自身で作成したコンテンツを投稿、共有します。
また最近ではその投稿に他サイトのリンクを貼って発信をするという潮流が出来ました。 

これにより、個人と企業はオンライン上のプラットフォームを介して「一対一」ではなく、「複数対複数」の形でお互いの情報や経験、意見のやり取りが出来るようになりました。 

そして企業はソーシャルメディアを企業運営に取り込み、社内のコミュニケーションや内部の管理だけでなく顧客とのコミュニケーションに利用しています。
結果的に顧客がビジネス上の意思決定に影響を与えることとなり、ソーシャルメディアは企業が製品を企画する際やマーケティング方法を考える際に重要な役割を担っています。

各企業はソーシャルメディアを活用してインターネットでの存在感を高めようとしています。ソーシャルメディアの代表的なものは下記の4つに分けられます。 

(a) Facebook、LinkedIn、Xingなどのソーシャルネットワーク
(b) Twitterなどの企業ブログまたはマイクロブログ 
(c) YouTube、Instagram、Flickr、SlideShareなどのマルチメディアコンテンツを共有するサイト
(d) wikiベースの知識共有ツール 

2021年には、EU企業の59 %が前述の4つのタイプのソーシャル メディアの少なくとも1つを利用しており、2015 年と比較すると利用率は22%も増加しています。 
利用率の割合は国によって大きく異なり、マルタ(表内MT)は84 %で、スウェーデン(表内SE)とオランダ(表内NL)は80%と高い一方、ブルガリア(表内BG)は39%、ルーマニア(表内RO)は36%と利用率が40%未満です(図1)。 

(図1)企業のソーシャルメディア利用状況(2015年と2021年)
出典:“Social media – statistics on the use by enterprises” (Data extracted in June 2022) 

下図(図2)の通り、2021年にはEU企業の59%がソーシャルメディアを利用しており、大企業に関していえば80%以上がソーシャルメディアを利用しています。
この数字は小規模企業の56%よりも大幅に高くなっています。 

小規模企業の約3分の1である約30%の企業が1種類のソーシャルメディアのみ利用しており、2種類以上のソーシャルメディアを利用するのは26%でした。一方、大企業に関していえば2つ以上のソーシャルメディアを利用する割合は、1つのタイプのみ使用する割合の3倍近く(61%と23%)でした。

(図2)EU企業が利用するソーシャルメディア数(2021年)
出典:“Social media – statistics on the use by enterprises” (Data extracted in June 2022)  

下表(表1)ではSNSが他の種類のソーシャルメディアよりも人気があると分かります。
EU企業の約56%がSNSを活用し、一般ユーザーへの情報発信やユーザーとの交流を行い、また自社製品や自社のブランドに共通の関心を持つ人々のコミュニティをつくっています。
ただSNSを使用しているEU企業の割合は、国別にみるとマルタの84%からルーマニアの36%まで幅がありました。 

(表1)企業が利用するソーシャルメディアの国別一覧(2021年)
出典:“Social media – statistics on the use by enterprises” (Data extracted in June 2022) 

ブログまたはマイクロブログとコンテンツ共有ウェブサイトはEU企業ではあまり人気がなく、それぞれ11%と28%でした。
ブログまたはマイクロブログを使用している割合は、スペインが26%、キプロス23%で最も高く、YouTubeやInstagramのようなマルチメディアコンテンツ共有ウェブサイトは、フィンランドが50%、オランダが45%で利用率が高くなっています。 

逆にwikiベースの知識共有ツールは2021年に最も人気がなく、EU企業の6%が使用する程度で利用率の最も高いスウェーデンでも15%でした。
 
※企業ブログ:1日に数回まで頻繁に更新されるウェブサイトで、テキスト・画像・オーディオやビデオを含む投稿が含まれる。
※マイクロブログ:通常数百文字以下の非常に短いテキストメッセージを投稿し、通常は長いテキストやビデオ、画像を含む他のサイトへのハイパーリンクを記載するもの。
※Wiki:原則として、複数の利用者がインターネットブラウザを使用して相互にリンクしたウェブページを作成し、共同で編集できるウェブサイト。 

2015年から2021年の間に、SNSを利用するEU企業の割合は34%から56 %に増加しました(図3)。
同じ期間にYouTubeやInstagram等の利用は16%増加し12%から28%となり、ブログまたはマイクロブログの利用は9%から11%に増加しました。 
一方、wikiベースの知識共有ツールを使用しているEU企業の割合は、2015年以降ほぼ変わりなく、1%の増加となっています。

(図3)EU企業が利用するソーシャルメディア種別の変化(2015,2017,2019,2021年)
出典:“Social media – statistics on the use by enterprises” (Data extracted in June 2022)  

EUでは、2015年から2021年の間にSNSの利用が最も増え、22%の増加でした。
EU加盟国の中で最も増加率が高かったのはベルギーとフランス(32%増)で、ラトビア(31%増)とルクセンブルグ(31%増)が続きます。
ブルガリアとアイルランドは増加率が8%と1%と低い伸び率でしたが、2015年時点でアイルランドでのSNS普及率はヨーロッパの中では2番目(EU加盟国では1番)で、他国と比較してすでに比較的高いレベルにあったことに注意する必要があります(図4)。 

(図4)各国のSNS利用率(2015年~2021年) 
出典:“Social media – statistics on the use by enterprises” (Data extracted in June 2022) 

2021年には、従業員250人以上のEUにおける大企業の81%が何らかのSNSを使用していました。
対照的に、従業員数10~49人の中小企業では半数強(53%)に留まっています。
YouTubeやInstagram等は、EUの小規模企業25%が利用していますが、大企業では55%が利用しており差があります。
2021年には、各種ブログを利用している大企業の割合は33%であり、小規模企業10%の3倍以上でした。
一方、Wikiベースの知識共有ツールは、企業の規模に関係なく最も使用されていないSNSでした(図5)。 

(図5)EU企業が利用するソーシャルメディア種別(2021年) 
出典:“Social media – statistics on the use by enterprises” (Data extracted in June 2022) 

ビジネス利用で考えると、2021年中にSNSを利用するEU企業の割合は、宿泊業の86 %、情報通信業の81%という高い割合から、輸送・保管・建設業の41%という低い割合にまで及びました。
マルチメディア コンテンツ共有ウェブサイトは、情報通信業と宿泊業では半数以上の企業で利用されていますが、物流業や建設、電力・ガス・蒸気・空調・給水などのインフラ業では20%ほどとなっています。

各種ブログは、情報通信業の企業では39%と人気のあるソーシャルメディアの1つでしたが、反対に製造業や輸送・保管・建設業では10%未満となっています。  

(図6)EU企業が経済活動で利用するソーシャルメディア種別(2021年)
出典:“Social media – statistics on the use by enterprises” (Data extracted in June 2022)  

※本記事で利用した表とグラフのデータソース(Excelのダウンロード)
Social media – statistics on the use by enterprises 2021 tables and graphs 

※本記事で利用しているデータソースについて 
企業におけるICTの使用とeコマースに関する2021年の調査結果に基づいています。統計は、2021年初頭に国の統計当局によって実施された調査から取得されました。 
2021年には、EUの150万企業のうち14.8万社が調査され、これらの企業のうち約83%が小規模企業 (従業員10~49人および自営業者)、14%が中規模企業 (従業員50~249人および自営業者)、3% が大企業 (従業員250人以上および自営業者) でした。
「:」で示されるソース データは、利用できない、信頼できない、機密である、または適用できないデータを示します。信頼できないデータは、ヨーロッパの集計の計算に含まれています。この記事に記載されているデータは、この記事のデータが抽出された後に更新が行われたため、データベースのデータとは異なる場合があります。
データベースのデータは、調査年度ごとに整理されています。観測統計単位は、1993年3月15日の規則 (EC) No696/1993で定義されている企業です。調査は、従業員が 10 人以上の企業と自営業者を対象としています。
経済活動は、NACE Revision 2分類に対応します。対象となるセクターは、下記のとおりです。 
・製造業
・電気・ガス・蒸気・空調・水道
・工事 
・卸・小売業、自動車・二輪車の修理
・輸送と保管 
・宿泊施設とフードサービス活動
・情報・通信; 不動産
・専門的、科学技術的活動 
・ 管理および支援活動
・パソコンや通信機器の修理

最終更新日:2024年7月5日